窓をあけたら
朝、窓をあけたら、ふと胸の奥に届いた香り。
雨の後の少しひんやりとした空気とともに。毎年いつも突然やってくる。
どこか遠い場所からやってくる。
嬉しくなって、サンダルを履いて急いで外に出る。
外に出てもまだハナノイロは見えない。
透き通るようなかすかな香りは広い場所ではまだ見つけられない。
探そうと思うと、漂って、どこかへ散って、薄まって、消えていってしまう。
ちいさなちいさな粒は、すり抜けていくばかりで。
家に戻り、窓を閉めて、もう一度窓を細く開けてみる。
そうすると、そこに確かに香っている。なんだか、さっきよりも濃密に。
細い窓の隙間から密かに入ってくる。秋の始まりの空気に乗って。
秋は静かに始まっていく。カレンダー通りでも予定通りでもない、ふとした出会い。
日常に満ちているそんな出会いを言葉にしてみたくなって、今日、ブログをはじめてみます。