夏を洗い流す雨が降った

少しづつ空気が透明になっていく。金木犀の香りは透明な空気によく似合う。

 

雨が降って、少しずつ秋が深まっていく。余韻を残しながら夏が終わっていく。

過ぎていく夏を洗い流す雨が降る季節。

毎年毎年、あぁ、また今年も、と思う。

 

過ぎていく夏を惜しみながら、

あぁ今年も、こんな雨が降って、そしたら、と、それを嬉しく感じている。

 

まだ、どこかに夏の気配を探している。行ったり来たりの九月の終わり。

 

 

夏は雨に洗い流されていく。秋は静かに滑りこむ。

秋は透き通って透明になって、冬の凍てついた透明な粒々に変わる。

冬はほどけて空へ消えていく。春は大地から立ちのぼる。

春は密度を変えていって、すべてが濃密な夏へと変わる。

 

 

めぐる季節の中。めぐるいのちの旅路。

窓をあけたら

朝、窓をあけたら、ふと胸の奥に届いた香り。

雨の後の少しひんやりとした空気とともに。毎年いつも突然やってくる。

どこか遠い場所からやってくる。

 

嬉しくなって、サンダルを履いて急いで外に出る。

外に出てもまだハナノイロは見えない。

透き通るようなかすかな香りは広い場所ではまだ見つけられない。

探そうと思うと、漂って、どこかへ散って、薄まって、消えていってしまう。

ちいさなちいさな粒は、すり抜けていくばかりで。

 

家に戻り、窓を閉めて、もう一度窓を細く開けてみる。

そうすると、そこに確かに香っている。なんだか、さっきよりも濃密に。

細い窓の隙間から密かに入ってくる。秋の始まりの空気に乗って。

 

金木犀の香り。漢字も素敵。キンモクセイと描いてみても素敵。

秋は静かに始まっていく。カレンダー通りでも予定通りでもない、ふとした出会い。

 

日常に満ちているそんな出会いを言葉にしてみたくなって、今日、ブログをはじめてみます。