夏を洗い流す雨が降った

少しづつ空気が透明になっていく。金木犀の香りは透明な空気によく似合う。

 

雨が降って、少しずつ秋が深まっていく。余韻を残しながら夏が終わっていく。

過ぎていく夏を洗い流す雨が降る季節。

毎年毎年、あぁ、また今年も、と思う。

 

過ぎていく夏を惜しみながら、

あぁ今年も、こんな雨が降って、そしたら、と、それを嬉しく感じている。

 

まだ、どこかに夏の気配を探している。行ったり来たりの九月の終わり。

 

 

夏は雨に洗い流されていく。秋は静かに滑りこむ。

秋は透き通って透明になって、冬の凍てついた透明な粒々に変わる。

冬はほどけて空へ消えていく。春は大地から立ちのぼる。

春は密度を変えていって、すべてが濃密な夏へと変わる。

 

 

めぐる季節の中。めぐるいのちの旅路。